とにかく仕事にやりがいがなかった。
毎日毎日、パートナー企業の進捗を管理して、資料に整理して、プロジェクトマネージャーに報告する。
「大規模プロジェクトをマネジメントする」
「ベンダーコントロールして、プロジェクトの成功に導くリーダーである」
というと聞こえはいいが、大手SIerの業務の実態は「工数パズル」である。
誰と誰にどのタスクをやらせて、その間にどこの部署と調整をする、というような、人と人の組み合わせを延々といじってスケジュールを管理するのがSIerの仕事だ。
このような調整と管理が永遠に続く。SIerにいる限り、ずっとだ。
報告を受け、その報告をまとめてさらに上の会議で報告する。
とにかく報告のために生きていて、良い報告をするためにベンダーの尻を叩くのだ。
「プロジェクトのリスクはこうです」
「進捗の状況はこうです」
「予算はいくらです」
「課題は何があります」
「予定通りに終わります」
このような会話を毎日する。自分は手を動かさないから、ベンダーが何をやっているかは詳細には理解できない。そして理解しているSIer社員は誰もいない。
誰もコードを読まないのだ。わかったつもりになっている社員ばかりである。
SIerの連中は自惚れた馬鹿ばかりなので、「自分たちが何もわかってない」ことすらも気付かないのだ。
「設計書」と呼ばれるExcelのお絵かきを見ただけで、わかったつもりでいる。
仮にソースコードを全て取り上げて、Excelの紙ペラを元に
「もう一度作り直せ」
と言われたとしたら、SIerのプロパー社員では絶対に作り直すことはできないだろう。
そういう意味で、設計書はゼロから仕様を再現できるようにはできていない。
ソースコードが何をやっているかを簡単にまとめた程度のものだ。
そしてコードを読まないから、「なぜこのような動きをしているのか」はわからない。
「何をしているのか」が何となくわかるだけで、「なぜそうしているのか」は誰も理解できないままなのだ。
理由がわからないから、直せない。判断ができない。そうして、技術的負債が積み重なっていく。
その成れの果てが、くだらないリプレイスプロジェクトであった。
技術が好きな人はSIerに近づいてはいけない

私は技術が好きであった。プログラミングがしたかった。
私が勤めていたのは世間的には非常にネームバリューの高い大手SIerである。年収は1000万を超える。
大学生の頃に想像していた。この会社の人間は優秀なのだろうと。
中に入ってみると、意味のないことに細々と文句を言う、嫌な姑みたいなおっさんばかりであった。
技術的な知識は2000年前半で止まっていて、それで自分たちが「最先端」だと思っているようだった。
SIerの40代は罪深い。過去の栄光に囚われて、現代の知識に全くキャッチアップができてない。にも関わらず、SIerというガラパゴスの中で、己の未熟さにも気付けないまま、ずっと天狗になっている。
毎日吐き気がしていた。周りの社員の頭の悪さに。
毎日嫌気がさしていた。無意味な会議と無駄な資料作りばかりしている会社に。
「変わろう」と声をかけるも、実際にやるのは「変わった風に見せかける資料」を作って偉い人に「やりました」と報告するだけ。10年経っても何も変わらなかった。
私はいつか、この会社でも技術者になれるかと思っていた。
テクノロジーで未来を変えられるかと思っていた。
願望と現実の区別がつかない大馬鹿者であった。
大手SIerでプログラミングはできない。
「単価の高い仕事」をしなければならないからだ。
SIerの世界では、単価の高い仕事は管理であり、お客様との折衝であり、調整である。
その下でたくさんの「単価の低い人達」が動くからだ。
高いお金をもらうには、その下にたくさんの人を動かして、大きなシステムを作り上げなければならない。
調整の仕事は退屈だった。何のやりがいもなかった。成長している実感がなかった。周りの人間は愚痴ばかり言っていた。
残業自慢が気持ち悪かった。飲み会に遅刻せずに来る人間は「仕事をサボっている」とみなされた。新人に居酒屋を予約させるくせに、誰も時間通りに飲み会に来ず、それを悪びれもしないSIer社員の考え方が心底気持ち悪かった。
大手SIerの人間は腐ってる。腐っているくせに、自分たちから腐臭がしていることにも気付いていない。
トイレの中にいるうちは、うんこの臭さに気付けないのだ。
上がり続ける給料

なぜ、転職しなかったのか。
給料が高かったからだ。
当たり前すぎることだが、お金は大切だ。
若いときの方がお金が大切だ。
「やりたいことがあるならさっさと転職しろよ!」
などと、他人の人生に一ミリも責任を持たないくせに、求めてもいないのに、偉そうに上から目線で説教する阿呆がネット上にはたくさんいる。現実でもたくさんいるだろう。
このような連中は偉そうに説教して気持ちよくなる、というオナニーをする癖に、発言に一切の責任を持たない。精子を出しっぱなしで処理しない中学生のような連中だ。
精子はティッシュに出せ。他人でオナニーをするなカスめ。
我々はお金を稼がなければならないのだ。
永遠に麦やヒエや粟を食って永遠に生きていけるならいいが、現実はそうはいかない。
特に東京だと厳しい。
私はキレイなマンションに住みたいし、多少は良いものを食べたいし、女の子と遊びに行ったときに食事代・ホテル代くらいは出したい。
全部当たり前にお金が必要だ。
仕事が世界の全てではないのだ。
そして世界の全てにはお金がかかる。
だからお金を無視して「好きなことをやればいい」などとほざくやつは、現実が見えていない。
「辞めないんだったら愚痴を言うな」
「辞めないんだったら文句を言うな」
という指摘は正しいが、お前に言われる筋合いはない。
プライベートでスキルを磨け、という奴はアホ

プライベートで勉強して、Qiitaに投稿して、エンジニアとしての存在感を高め、Hishidamaになればいい。
…というのは理想論だ。現実は厳しい。
日中の業務でまともに開発経験を積めていないのに、プライベートだけでまともな技術者にはなれない。せいぜい「お勉強」をするくらいで、実際の開発スキルは高まらないだろう。
そもそもSIerは労働時間が長すぎる。日中時間を取られすぎて、平日はスキルを高める時間などほとんどないのが現実だ。
実際にスキルを高めるなら「まともな開発の現場」で経験を積むのが一番である。現場の経験なしに成長は難しい。特に最初のうちはだ。
SIerでの経験は、プログラミングのプラスにはならない。
新人に10,000行分のコーディングを課す大手SIerもあるが、馬鹿なのだろうか?
何行書いたかではなく、何を実装したかだ。
コードを書かせて、Github に Pull Request して、コードをレビューすればいいのだ。しかしSIer社員はコードのレビューなど知らないし、Pull Request のやり方もわからない。
だから、新人が入ってきたとしてもスキルを高めることなどできない。
プログラミングも何もわからないまま、歳を取り、ベンダーに丸投げするおっさんが出来上がるのだ。
30代、転職活動を始める
というわけで、転職活動を始めた。
嫌な環境からは抜け出せばいい。
もはやこの会社で働く理由などないのだ。
会社の給料はたしかに良い。
福利厚生も良い。
しかし全然幸せではない。
お金はものすごく大切だが、夢がない毎日は金が無いよりも辛いと判断した。
こんな退屈でつまらない毎日を送っているのであれば、生きている意味がないとすら思えた。
新卒の職場はガチャ。
転職もガチャだが、回し続けることはできる。
給料は上がれば嬉しいが、下がっても自分で稼いでいける。
アフィリエイトの経験は僕にそんな自信を与えてくれた。
後は給料をもらう労働を楽しくすればいいのだ。
このブログは遅咲きの男が転職の過程を綴るブログである。もしかしたら永遠に咲かないかもしれない。
同じように30代でSIerからの脱出を考えている人に読んでほしい。
お金持ちになりたいすべての人にとって、有用な情報が載っているブログを見つけたので紹介します。
エンジニア転職のリアル
私はこのブログを全部読んで、人生変わりました。
この記事を読んでくれた方にもぜひおすすめしたいです。