SIerの仕事

Oracle Cloud を使うメリットがわからなかった

前職ではなぜか、社内で「Oracle Cloud を使おうぜ」という号令がかかっていた。

AWS でも Google Cloud Platform でも Microsoft Azure でもなく、 Oracle である。

「なぜ Oracle にするのか」という理由が「役員が推進しているから」とおよそ合理的とはいえないものなのだが、 SIer の技術選定に納得感がある方が珍しいので、そこについては何も言うまい。

まともなIT企業が技術選定を行うときは、競合製品などを踏まえて技術調査を行う。 PoC ともいう。

それぞれのサービスのメリット・デメリットを比較し、自分たちのサービスを提供するのに最適な構成は何か?という調査をある程度の工数をかけて行い、社内である程度議論してから構築を始めるのだ。

はじめから結論ありきで「役員が推進しているから Oracle!君に決めた!」などというアホな話はない。

もちろん偉い人の意見は尊重するが、それでも「そのテクノロジーを採用してサービスの価値向上につながるか」の調査は行う。

サービスの特性も考慮せず、「社長が Oracle に営業かけられたから Oracle にするぜ」みたいな雑な意思決定はない。

SIer でそんな雑な意思決定が行われていたかは不明だが、現場に降りてくるのはその程度のレベルだった。部長ですら、「なぜ Oracle なのか?」がわかっていなかった。わかったフリはするだろうが。

Oracle Cloud を全社的に採用するデメリットとしては、(経験者が少ないため)中途採用の求人が難しくなる点と、社内のメンバーに他社で使えるスキルが身につきにくい点がある。

というのも、現状 Oracle Cloud を使っている会社は少数で、 Oracle Cloud の利用経験は、中途面接で語る経験には直結しづらい。

逆に言えば、求職者に訴求しづらいということでもあるのだが、 SIer では「どんなスキルが身につくか」は意識しないため、「入社することで身につけられる技術」については考慮しない。

また、Oracle Cloud は歴史が浅く、それゆえにネット上にベスト・プラクティスも転がっていないため、生産性が落ちてしまうのだが、 SIer はハナから自分たちが環境を作る意志がないからなのか、ググラビリティには興味を示さない。

Oracle Cloud を使うメリットを話す人達のスーツが気になる

Oracle Cloud を使うメリットを語る記事がある。

田村:Oracle以外にも検討段階で“お試し”できる製品を使ってみたのですが、そのクラウドでは試用可能範囲のスペックが低すぎて、思うような速度が出せませんでした。また、課金体系が複雑で、費用算出の見通しがつきにくかった。これだと、お客様に精度の高い見積もりを出すのが難しくなります。一方で、SLA(Service Level Agreement)は魅力的でしたね。ただ、それにも増してOracleのインスタンス作成の容易さが、限られた期限内での開発効率アップに貢献する期待がありました。言ってみれば、使いやすく始めやすかった点が、Oracle Cloud採用の一番の決め手になりました。

https://enterprisezine.jp/article/detail/10139

話している人からまったく技術の匂いがしないのがとにかく気になるが、そもそも上の引用だと Oracle を選ぶ理由になっていない。

「そのクラウドでは使用可能範囲のスペックが低すぎて、思うような速度が出せませんでした」というならば、スケールアップするなりスケールアウトするなり、試しようがあったはずだ。サービスに合わせてスペックを設定できるのがクラウドなのに、何を試したのかと疑問は尽きない。たぶん何も試しておらず、結論ありきで Oracle をヨイショしているのだと思う。

谷川:このシステムが稼働しているOracle Cloudは、サーバーが米国にあるものだと伺いました。海外のサーバーを使うのに抵抗はありませんでしたか。また、システムを利用されているエンドユーザーの企業は、自社のそうしたデータが米国にあるクラウドに格納されることについて、どう感じておられたでしょう。

https://enterprisezine.jp/article/detail/10140

米国のサーバーを使う? AWS の東京リージョンは使わないのか?ブランドと実績で選ぶなら、他のクラウドサービスの方が実績もブランドもあると思うが。

記事は全体的に、オンプレと Oracle Cloud を比較したメリットばかりを語っていて、他のクラウドサービスに比べたメリットについてはごく薄くしか語られていない。

「クラウドはまだまだ未知数」と語っているこの記事は2017年に書かれたもので、 SIer の人たちだけ時が止まっているかのようだ。

こんな人達が技術選定をしているから、 SIer はいつまで経っても技術的に何も進歩しないのだろうと確信した。

まともな技術者は SIer に近づいてはいけないのだ。

市場価値が上がらない会社に長く留まると、あとで困ることになる。
気付いたときには早めに転職活動を開始するべきだ。



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