転職活動

SIerでは専門性が身につかないのではないか、という疑問について考える

SIerに長く勤めていても専門性は身につかないのではないか、と悩むことも多いだろう。

「手に職」とは程遠い業務内容で、パートナー企業のメンバーの管理も「その会社ならでは」のようなものに思えてならない。

技術力(技術知識)=専門性

と考えるならば、SIerのほとんどの部署では専門性は身につかない。

「なんてショボい仕事をしているんだ…」

というのが、SIerで1000万を超える年収を受け取っている私の率直な思いである。

会議、資料の更新、報告、連絡、調整…

こんな仕事、誰にだってできるんじゃないか。
なぜこんな仕事に人生の大切な時間を投入し続けているのか。

マイナス思考に陥ってしまうと止まらなくなってしまう。

年収は上がってる。
でも全然幸せじゃない。
毎日毎日退屈で仕方がない。

そんなネガティブな思考で転職市場に一歩踏み出して、気付いたことがいくつかある。

プライベートで身につけた「技術力」は評価されない

プライベートで技術を身に付けてなんとか市場価値を上げよう、などと考えるSIer社員もいるかもしれないが、あまり効果はない。

私自身もそう考えて勉強を続けてきたが、結論から言うと、「プライベートで技術を身につければプロフェッショナルになれる」と考えるのは浅はかであった。

求人情報を見て、自分が応募する段階になって初めて気付いたのは、企業が求めているのは

「技術力を使って会社にどんな貢献をしたのか」

「技術力が仕事を成し遂げる上でどう役に立ったのか」

という点であって、

「家で一生懸命プログラミングしました」

というアピールではない。

そのため技術が好きなSIer社員にありがちな

「普段の業務では全く使わないけど家でプログラミングの勉強をして色々頑張る」

という行動は、転職市場では評価されにくい。

そしてそもそも、面接ではプライベートの経験は聞かれない。

「業務で何をやってきたか」

を聞かれるのだ。

エンジニアリングをほとんどやってきていなかったにも関わらずウェブ系、プログラマとして転職しようとすると、まず面接で答えに窮することになる。

エンジニアの面接で聞かれるのは「エンジニアリングの経験」だからだ。

新卒採用であれば努力も評価だが、中途採用は実績勝負。
将来的に技術的な仕事につきたいのであれば、できるだけ若いうちに技術が求められる会社に転職するのがいい。

そして当たり前ながら、人生で一番若いのは「今」である。

SIer社員の専門性は「プロジェクトマネジメント」

SIerの社員に期待されるのはプログラマーとしてバリバリコードを書いてプロダクトを作ることではない。

SIer社員は何の専門性もないと思われがちだが、外から見ると

「大人数のマネジメントをしっかりやってきた人」

と評価されている。

これは実際に転職市場に職務経歴書を放り投げてみて初めて気付いたことだ。

我々は全く武器を持っていないわけではないのだ。

「大きな組織でマネジメントをしっかりやってきた」

という経験が、これから組織を大きくしようとしている会社では役に立つかもしれない。

「自分がやりたいこと」を押し付けるのではなく、「自分の経験を欲しがっている場所を探して売り込む」ような戦略が有効であると考える。

逆に言えば、「プロジェクトマネジメント」という武器を全く使わずに、ただ「プログラミングがしたいです」という思いだけでウェブ系に転職しようとすると、おそらくかなりの高確率で行き詰まってしまう。

自分の経験、武器を活かしながら、少しずつ職種をずらしていくのがいい。

レガシーな最悪な職場でのマネジメントから、先端技術で風通しの良い職場のマネジメントに転職。
そこからプログラマとしての知識も吸収していく…みたいに、順を追って進むのがいい。

アジャイル、DXなどという言葉に期待するな

近年、アジャイル開発やらDXやらをキーワードにして、SIer自体も変わろうとしている風潮があるが、バズワードに惑わされてはいけない。

言葉を発するのは簡単だが、人間は簡単には変われない。

会社の文化を作っているのは「人」なのだ。

Gitも使えない、Hello Worldも出力できない社員が8割を占めるSIerで、どうやってアジャイル開発を浸透させるのか。

自分の存在意義を否定するような施策に本気を出して取り組めるはずがない。

SIerの社員が叫ぶ「アジャイル」は進学校でイキがっている不良のようなものだ。

どこまでいっても机上の空論なのである。

「DX」も同じ。

デジタルトランスフォーメーションと言葉を作って遊んでも、やることはいつもと同じ、受託のウォーターフォール開発で、出来上がるのは顧客の使いやすさとはかけ離れたところにあるプロダクトである。

私が勤めている会社では掛け声では「アジャイル」「DX」などと叫び、「委員会活動」などで啓蒙活動を行っているが、そんなオママゴトで会社が変わるわけがない。

外には「当たり前にアジャイルをやっている会社」があるのだ。
そっちに出ていく必要がある。

SIerはなぜヤバいのか、大手SIの中の人が本気で考えてみた

異動に期待するな

SIerの一部の部署では先端技術を扱ったり、コードを書くような部署もある。
声を出し続けていたらそういう部署に配属されるのではないか、と期待してしまう人もいるだろう。

結論、異動に期待してはいけない。
期待しても、期待通りにはならないからだ。

自分でコントロールできる範囲に注力したほうがいい。

いつ会社を辞めてもいいように貯金を貯めておき、転職活動は続ける。
会社が邪魔くさくなったら会社を辞めて、技術を学びながら転職活動をする。

情報系の大学院に行ってもいい。

とにかく会社には期待するな。
SIerはどこまでいってもSIerなのだ。

君が期待するようなキャリアは存在しない。

不満があるなら転職活動を始めること

結局、SIerのビジネスモデルが性格にマッチしている人は一生懸命やるのがいいし、SIerのやり方に疑問を持っている人はすぐに転職活動を始めるのがいい。

転職活動を始めると、

  • 市場では今、どんなスキルが求められているのか
  • どういう職種の年収が高いのか
  • これから自分はどんなスキルを身に付けていけばいいか

などがよくわかる。
転職本を5冊読むよりも、自分で職務経歴書を書いて、本気で転職活動をしたほうが勉強になるはずだ。

そして転職自体は焦らずに、じっくりと選んでいこう。

焦って「すぐにやめたい!」と思ってしまうと、頭が転職でいっぱいになってパンクしてしまう。

まず市場を見て、自分を売りに出して、その中で焦らずに「自分の見せ方」を洗練させていけばいい。
どんな時代でも、何があっても、終わらない転職活動はない。

条件を上げると厳しいが、年収を下げて専門性を取る、という考え方もある。
損して将来の得を取る、という考え方だ。

SIerから技術職に進むには、損して得を取るしかないように思う。
逆に年収を上げたいのであれば、とにかく上流にいくことだ。

具体的には、コンサルタント職を受けるとか、セールスを絡めるとか、プロジェクトリーダーからプロジェクトマネジメントを目指すとか。

「上流、外資」が年収を上げる道なのは間違いないだろう。