SIerの仕事

大手SIerに入社するデメリットは成長できないこと。時代遅れのエンジニアリングが染み付いてしまうこと

SIerは福利厚生もよく、ウェブに比べて給料も高いことが多いです。
仕事内容も文系でもできるもので、高度なスキルは必要とされません。

見栄えの良い資料を作ったり、業務内容をちゃんと理解できていれば、仕事は回ります。

コードは入社2年目からは書きません。技術的なことには関わりません。

「プログラムを読めない人間にマネジメントはできない」

と言いながら、社員にコードを読ませようとはしないのです。

まぁ、文系からIT業界に入るための「入り口」としてはSIerはとても良い選択肢だと思います。

一方で、SIerに長くいるのは危険です。
間違ったエンジニアリングが染み付いてしまうからです。

たとえばテスト。

私はSIerで10年仕事してきましたが、テストが自動化されているプロジェクトは一つも見たことがありません。
Excelにテストケースを大量に書いて、それを「手動で」一つ一つ確認していきます。

「証跡(エビデンス)」と呼ばれるスクリーンキャプチャをExcelに大量に貼り付けて、誰も読まない「証跡集」がファイルサーバに積み重なっていきます。

大手SIerの社員は「証跡をレビューする」ことになっていますが、忙しすぎていちいち確認する暇はないでしょう。
そもそも見ていて面白いものでもないので、Excelを眺めても頭を素通りしてしまいます。

こんな感じの根性テストに大量の工数が費やされます。

「コードの行数あたりの障害数」

を目安にして、「テストの品質」を評価します。

障害が少なかったら「逆におかしい」と言われます。

これらの「基準」はCOBOLと呼ばれる化石言語で開発されていた時代のものが採用されています。

ExcelやPowerPointに「プログラムの行数」と「障害件数」などをまとめ、おっさんの「レビュー」を通すことで「品質」を担保します。

ソースコードは見ません。
ExcelやPowerPointを見て「品質」を評価するのです。

このように、Excelばっかり見て仕事をしていると、誰も「ソースコードの品質」は気にしなくなります。

その時その時で対応したパートナー企業の人達が、好き放題ソースコードを書いて、自分の担当範囲だけちゃんと完了するようにプログラムを継ぎ足していきます。

結果できあがるのが、誰も触ることのできない迷宮のようなソースコード達です。

3000万行のコードを「私達のソース規模は30,000KStepです」なんて言いながら、中のコードはゴチャゴチャで、何がどうなっているのか誰もわかりません。

おそらくは再利用可能なコード、重複しているコードが大量にあるはずで、Railsで書き直したら10万行に短縮できるように思います。

大したことをやってないのに、膨大なゴミコードに囲まれて、改修がものすごく難しくなっているのです。

そんな環境で、コードも見ずに、開発は協力会社に投げて、ひたすら進捗を管理するのが大手SIerの社員の仕事です。

社員は社員でものすごく忙しいです。
ひたすらPowerPointで「計画書」「結果報告書」を作ります。

大手SIer社員の仕事は「エンジニア」ではなく「作家」なのです(タスクにも「執筆」が並びます)

こうやって作家作業ばかりして、現場のエンジニアリングを改善することもなく、ひたすらに超絶非効率な開発を続けるのが大手SIerの現状です。

ものすごく非効率です。
仕事が亀のようにしか進みません。

「小さなチームで素早く開発」

なんて夢物語で、多くの人と面倒な調整をしながら作業を進めます。

一つのシステムに対して、複数の部署の様々な人が関わってくるので、調整が死ぬほど大変なのです。

「関係者との調整」が開発業務の2割を占めます。資料の作成が4割、管理が2割、報連相が2割です。

まぁ、こんなことばっかりやっても技術力は身に付きません。

「業務で扱っている古いシステムの仕様」

の知識がほんの少しずつ増えていく感じです。

ソースコードを読んでシステムを理解する、という作業が一切できないので、

「案件ごとに有識者にヒアリングして、ヒアリング内容をメモしながらバラバラの知識を少しずつ覚えていく」

というような非効率極まりない学びしかできません。

システムの全体像を掴むための資料はありますが、その資料は「第三者が読んでわかるように書く」ためのものではなく、

「システム設計会議を通すための資料」

になっているので、ものすごくわかりづらい作りになっています。
初めてプロジェクトに参画した人が読んでも

「なぜこういう処理にしたのか」

「このプロジェクト特有の用語の意味は何か」

などはわかりません。

ドキュメントは散らかっていて、業務知識の習得は「案件を通じた1on1の教育」次第。

「体系的な知識をドキュメントを読みながら学ぶ」

「実際に手を動かして、システムを使ってみて、自分で改修して、テストを回す」

というのがそのシステムに習熟する近道だと思いますが、SIerではそういうことは一切できません。

バラバラのドキュメントから情報をかき集める「ドキュメントパズル」を日々こなさなければなりません。
また、資料を作るときも「根拠となるドキュメント」をかき集めて、パズルのように組み合わせてロジックを組み立てなければいけません。

不毛です。
ものすごく不毛です。

こんな不毛な作業を一年中やってるから、SIerの社員は成長できないのです。
年収が上がっていく割に成長実感が全くない。
翌年も、その翌年も生産性が上がらないから、何年経っても仕事が辛い。
いつまでも仕事が辛いから、誰も幸せそうに仕事をしない。
職場が殺伐として、雰囲気が悪い。
みんなが辛そうに仕事をしていて、夢も希望もない。

これがSIerに入る最大のデメリットです。

【SIerの長時間労働】仕事が辛いときの対処法は、「耐える価値があるか」を見極めること