SIerで経験したやばいプロジェクトを語ろう

私はSIerで10年働いてきて、仕事が楽しいと思ったことは一度もなかった。

毎日が灰色で、明日が楽しみであったことはない。
綺麗なオフィスにしょぼいパソコン(メモリ4GB)。

年収は上がり続けるけど不満は溜まり続ける、おかしな環境であった。

しかし、それでも私は相対的には幸せだったのかもしれない。

長く関わってきたプロジェクトはSubversionでバージョン管理はしていたし、2018年頃からはなんと、Gitを導入することができた。

ExcelやPowerPointとにらめっこし続けるSIerのクソ業務はあったとはいえ、上司は理解が早く、コミュニケーションコストが低く、チャレンジを応援するような空気はあった。

ただ、使っている技術は保守的で、時代遅れで、「障害を絶対に許さない文化」だったので、奨励されているとはいえ、業務に関する抜本的な改革は難しかった。

また上司よりさらに上の40代、50代の連中は新しいテクノロジーは全く理解がなく、何にでも報告を求めていて、とにかく煩わしかった。

それでもSIerの中では相対的に「マシ」であったと言わざるを得ない。

最悪だったCOBOLプロジェクト

私のSIer人生の終盤で、COBOLプロジェクトに配属された。

噂には聞いていたし、ネットで読んで「COBOLプロジェクトがどんなものか」はなんとなく知っていた。

が、実態はネットに出てくる情報よりはるかにひどかった。

業務内容、文化、労働環境、全てが最悪だった。

バージョン管理が謎の自社システム

配属されて驚いたのは、ファイルの管理である。

Gitはおろか、Subversionすら使われていない。
「バージョン管理」の概念が皆無であった。

共有サーバに置かれたExcelを共同で管理し、チャットには

「Excel、誰か開いてます!閉じてください!」

という連絡が毎日飛び交っていた。

ソースコードの管理は謎の自社システムを使っていた。

使いこなすには専門の部隊が必要で、当然ながらググっても情報は出てこない。

私はそのプロジェクトに半年以上いたが、ソースコードのチェックアウト方法は最後までわからなかった。

誰も教えてくれなかったし、SIer社員にソースコードを見る仕事は求められなかった。

パートナー企業の何者かがExcelにコピペしたCOBOLのソースコードの断片を読んでいた。

COBOLはさっぱりわからなかった。

wikiのような情報が一切ない

チームに加わって、開発サーバに接続できたのは一ヶ月後であった。

協力会社の人が何らかの開発をしているようだが、そもそも開発サーバのIPアドレスやユーザー名がわからない。

誰も教えてくれないし、そういう情報は一元管理されておらず、全て「誰かに聞かなければわからない」ようになっていた。

普通はwikiなどにまとめてあるはずなのだが、そういうのは一切なかった。

共有サーバのフォルダの中から自力で宝探しのようにサーバーの接続情報を集めなければならず、やっと見つけたと思ったら10年前の情報だったりして、パソコンを壊したくなった。

「プロジェクトを管理する」という仕事をやっているのだが、何をしているのか自分自身が全くわからない。

とにかくパートナー企業の進捗を見守り、課題を整理し、次の計画を立てる。

こんなことを書くと、

「自分で情報を取りに行け」

と思われるかもしれない。

情報を能動的に取りに行くと、誰もが忙しすぎてある人からは返信がなく、ある人からは「共有フォルダを全部読め!」と言われた。

共有フォルダにあるのは大量のファイルと、ファイルの中には「人に読ませること」を全く意識していない断片的な情報の集合である。

プロジェクトの重鎮のような人は

「俺は若い頃に資料を全部読んだ。そういう経験をして人は育つ。もっと苦労するべきだ」

と語っていた。

自分が時間をかけて学んだのだから、後続にはもっと効率的に情報を伝えるのがまともな思考回路だと思うのだが、そういう発想は皆無だった。

役割だけ与えて説明がない

「今日からお前がチームリーダーだ!」

と体制図を見せられ、役割を与えられた。

で、何の仕事をしたらいいの?

そのチームのミッションが何で、全体の中でどんな役割を期待されていて、何をいつまでにどうすればいいのか。

そういう肝心な仕事の内容は一切説明されなかった。

が、チームリーダーに任命されたときは配属から1ヶ月が過ぎていたため、自分がどうすればいいのかはわかっていた。

断片的な情報をかき集め、自分でタスクを組み立てるのだ。

誰も説明しないし、誰も頼りにならない。

だから、自分でチームの仕事のスコープを決め、スケジュールを立て、終了条件を定義しなければならない。

「計画書」という名の資料を作るために、ゼロから情報を集め、何度もレビューを繰り返した。

このレビューが非常に面倒で、何の意味があるのかわからなかった。

レビューで指摘するなら最初からちゃんと説明しろよ、と思ったが、とにかく非効率を好む人間には伝わらないのだ。

ドキュメント地獄、レビュー地獄

「レビューによって品質を上げる」という考え方は正しいが、やってる仕事が間違っていた。

とにかくひたすらにドキュメント作りなのだ。

あるときはPowerPointに、あるときはExcelに。

SIerのプロパー社員の多くははタスク報告の際に「●●計画書の執筆」と書いていた。

そう、彼ら彼女たちの仕事は「執筆」なのだ。

システムエンジニアではない。作家なのだ。

ドキュメントを執筆し、そしてそのドキュメントにひたすらにレビューを受ける。

たくさんの人に何度もレビューされることが大事だと考えられていた。

計画書・報告書の作成に誰もが3週間以上かけていた。

何をやっているのだ、と思ったが、誰もがそれを当たり前と思っていて、誰も疑問を抱いていなかった。

頭のおかしな集団に当たり前に浸かってしまうと、みんな馬鹿になってしまうのだ。

仕事しない高齢社員

とにかく自分の仕事を増やしたくない、手を動かしたくないやつがいる。

SIerで40代、50代になると、現場の負担を増やすばかりで何の役にも立たない産業廃棄物のようなゴミが増える。

プロジェクトメンバーとして参画しているのに、とにかく

「できましたか?」
「やりましたか?」
「やってください」
「いつできるんですか?」

しか言わないやつだ。

お前がやれよ、と言いたいし、実際に言ってもやらなかった。

他人に丸投げし続けてきたから、何もできないのだ。

何もできないくせに偉そうで、チームの生産性を一ミリも上げない。

COBOLプロジェクトにはそういう奴が複数人いて驚いた。

普通はチームに1人程度で収まるのだが、やたらと高齢化が進んでいて、高齢者員はだいたい使い物にならなかった。

ちなみに彼らの年収は2000万を超える。

SIerは給料だけを見るととても良い就職先だ。
仕事ができなくてもお金は入ってくる。

とにかくお金があればいい!という人にはSIerへの就職をおすすめしたい。

ただし、労働時間は長く、労働中は全く面白いことがなく、日々ストレスが溜まり、世の中の常識とずれていくことに耐えられるのならば、であるが。

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