SIerの仕事

SIerはヤバいのか?SIerは「やめとけ」と言われる理由を考えた

SIerはやばいやばいと言われますが、何がやばいのかを考えてみました。
大手SIerで10年以上働いてきて、「この会社、やばいな」と思ったことは何度もあります。

私の他にも

「うちの会社、やばくね?」

と言う人はたくさんいました。

ですが「SIerはやばい」と言われても、業績は安定しているし、給料も年功序列で上がり続けます。

では何がやばいのでしょうか?
SIerの中の人が自社を見て「やばい」というときは、以下のような状況を指します。

  • 使っている技術が古すぎてヤバい
  • 専門性が身に付かなくてヤバい
  • 大企業病すぎてヤバい
  • 仕事の進み方が遅すぎてヤバい
  • 残業時間が長すぎてヤバい

一つ一つ見ていきましょう。

使っている技術が古すぎてヤバい

SIerの開発で使われている技術は20〜30年前の最先端です。
日進月歩のITの世界で、SIerほど進歩の恩恵を受けていない業界も珍しいでしょう。

テストは自動化などされず、Excelの一覧を上から順番に実行。
「テスト」とはソフトウェアが期待通りに動くかを検証する作業を指しますが、ソフトウェアは変更が多いため、普通はいちいち手作業で確認せずに、テスト自体をプログラム化して、自動化します。

「普通」というのはSIer以外のITの仕事では、という意味です。

SIerでは何百、何千もの確認項目をExcelに並べて、人間が「確認しました」と○をつけて、目確認を何度も繰り返します。

確認したかどうかを証明するために「エビデンス」と呼ばれるスクリーンショットをファイルサーバーに置きます。このスクリーンショットは誰にも見られません。

あとで問題が起きたときに「ちゃんとやりましたよ」と言い訳するためだけに、毎回スクリーンショットを撮って残します。

ガチガチに閉じられたネットワークの中で、Dockerなど使うことは許されず、SlackやGitHub は使えません。

バージョン管理は「書類の名前_20210124.xlsx」みたいに、ファイル名+日付で行われます。

Subversionすら使えない人もたくさんいるのです。

SIerのバージョン管理「Gitって何?」

SIerの中でバージョン管理の話になったとき、GithubとGitの違いもわからない人がいて、心底驚きました。

私がいた会社では、「BitBucket」というGitのホスティングサービスを「使っている」チームがありました。

「使っている」といっても、BitBucket を管理している部署にソースコードの管理を丸投げしていたのです。

ソースコード自体も別企業に丸投げしているので、何がどうなっていて、どこで管理されているのかも「人づて」でないとわかりません。

システムのソースコードが「BitBucketで管理されている」という情報だけがあったので、

「BitBucketで使っているバージョン管理システムはGitですか?SVNですか?」

と社員の人に聞いてみたら、

「俺たちのバージョン管理システムはBitBucketだから」

と返されました。

GitかSubversionかを聞いていたのですが、話が噛み合いません。

年収1000万超えのIT企業、大手SIerの話です。

中の社員は全てをパートナー企業に丸投げしていたのです。
SIerは管理だけしていればいいんです。技術は知らなくても。

バージョン管理は知らない。
JavaScriptとJavaの違いもわからない。
テストは絶対自動化しない。
「運用チーム」にいるはずの人が「DevOps」という単語の意味がわからない。

これがSIerのレベルです。
こんな人達がシステム開発をしているのです。

「ヤバい」と感じる人は、現代のITの常識に囚われています。

SIerは現代のITとは全く別の世界です。

恐ろしく非効率で、恐ろしく前近代的で、江戸時代のような環境の中で莫大なお金を動かしています。

「技術者」としては間違いなくSIerは「やばい」です。ただ、「経営者」としてSIerを作るなら、こんなに美味しい商売はありません。

情弱に商材を売りつける情報商材屋が儲かるように、情弱の日系大企業にITを売りつけるSIerも儲かります。

中の生産性が明らかに低くても、顧客からぼったくっているので儲かるのです。

個人のキャリアとしてSIerを見ると、正直スキルは全く身に付きません。理由をみていきましょう。

SIerでは専門性が身につかないのではないか、という疑問について考える

専門性が身に付かなくてヤバい

SIerで40代になると「専門性を身に付ける」なんて考えなくなりますが、若手の人は危機感を抱いていると思います。

「この会社で永遠に書類仕事をしていて、自分に何の専門性があるのだろうか」

と。

その危機感は正しく、SIerで専門性など身につきません。

大手SIerに入社すると、2年目からはひたすらに身内向けの報告資料を作り続ける日々が始まり、それが永遠に続きます。

「社内標準」に合わせてプロジェクト管理をすることばかりを考えて、社内標準がどれだけ非効率なのかは考えを巡らせません。

身内の偉い人を納得させるためだけの資料を作り、手に職はつきません。他で活かせるスキルは何一つ身につかないのです。

SIerに長くいると、キャリアが会社と一蓮托生になります。

SIerの仕事は、外に持ち運べるようになってはいないからです。
とにかく内向きで、身内を説得・納得・報告させることだけに特化しています。

専門性とは、特定の分野における高度な知識や経験です。
SIerの仕事が簡単かというと、死ぬほど難しいのですが、それはシンプルなことを難しくやろうとしているからです。

業務が誰でも理解できるほど簡単だとは言いません。

ですが、ゼロから作れば10000倍シンプルでわかりやすく作れるものを、複雑さを積み重ねて、色々な関係者や他のシステムを組み合わせてサービスを作っているので、100の難易度が10000くらいに跳ね上がっているのです。

SIerの専門性とは、特定の顧客に依存した「業務知識」なので、その会社以外では全く使えません。一ミリも役に立ちません。

当然、転職活動では知識を転用できるかのように語りますが、実際にSIerの知識を活かせる部分はほぼゼロです。

SIerにいるということは、年をとってからは転職できなくなることです。
ヤバいですよね。

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大企業病すぎてヤバい

大手SIerの大企業病は行くところまでいってしまっています。

何をするにも会議が必要で、全件承認主義。

他の会社でも承認作業は当然必要ですが、SIerでは「承認を得ること」が本業になっています。価値を生み出す部分が何なのかよくわからず、社内で承認を得るために膨大な時間を費やし続けているのです。

業務に関係する内容で新しいチャレンジはできません。失敗が許されない文化だからです。

基本的に、業務と外れた場所で、本業ではない時間でチャレンジと称する何かの活動をして、偉い人に「私達は新しいことにチャレンジをしています」と報告するのがSIerにおけるチャレンジの定義です。

たとえば、私の前職では「アジャイルチャレンジ」と称して、なんかよくわからない委員会のようなものを立ち上げ、ボードに付箋を貼ったり、振り返りやスプリントをやってみたりして、ずっと「お勉強」していました。

そんなおままごとをやるよりも、実践のプロジェクトでアジャイル開発をやっていれば3ヶ月でだいたい内容は掴めるはずです。

SIerの「アジャイル」「DX」「機械学習(AIと呼ばれる)」は全部「お勉強」なのです。だからやってる方も真剣じゃないし、何一つ身に付きません。

現場で使わない「お勉強」をして、「やったつもり」になって、偉い人に報告してイイコイイコしてもらうのがSIerのチャレンジです。

彼らがやっているのは「仕事ごっこ」なんです。

また、仮に新しいチャレンジがあったとしても、ボトムアップではなくトップダウンで決められます。

偉い人が「DXに関する何かをしろ!」「Googleのようにイノベーションに2割の時間を使ってみろ」と思いつきを発信して、下の部署に伝えられます。

部署の中では色々と「上の要望を満たすけど、現状を変えないやり方」が議論され、とにかく何でも骨抜きにされます。

結果、
「イノベーションの時間を使って委員会活動をしてみました」
「委員会活動の内容を報告します!」
みたいな、オママゴトのような作業に大量の工数を使って、偉い人に報告して、何も変わりません。

変化は死ぬほど嫌われます。
変化させようとすると、何も知らないおっさんが、

「リスクはどうなんだ」
「問題が起こったらどうするんだ」
「説明できる資料は作ったのか」
「工数は」
「報告は」
「品質は」
「レビューしろ」

とクッソ面倒くさい仕事が大量に舞い込んできます。
それでいて、面倒なことをこなしても給料が上がらないので、

「じゃあやらなくていいわ」

となります。当然です。

これが大企業病です。
構造的に新しいことはできないようになっているのです。

大手SIerは回復不可能なほど大企業病に冒されています。
おそらく倒産するまで大企業病は治らないでしょう。

SIerの中にいて、自分の脳まで大企業病に汚染されたらまずいです。
さっさと抜け出しましょう。

仕事の進み方が遅すぎてヤバい

SIerの仕事はとにかく進みません。
関係する人が多すぎるからです。

開発環境のミドルウェアを再起動させるだけでも複数の人に「連絡」して「許可」をもらいます。

「開発環境がハングアップしたので、JBossを再起動していいでしょうか」

というチャットが何度飛んだかわかりません。

ディレクトリ一つ作るにも許可がいります。

「そのディレクトリは基盤チームの持ち物です」
「そのファイルはアプリチームの持ち物です」

とセクショナリズムが行くところまでいっていて、責任を超える仕事は叱責の対象になります。

開発環境のファイルなんて、まともにバージョン管理できていれば、間違ったら元に戻せばいい話です。

さっさと作業して、さっさと検証すればいい。
そんなことはできないんです。

仕事も「走りながら考える」は許されません。
まず計画を立て、その計画を3週間くらいかけて複数の関係者にレビューしてもらいます。

「計画のレビュー」に3週間以上かかるのです。

「計画は完璧か」
「計画に漏れはないか」
「人員は揃っているか」
「工数は」

みたいなことを延々とレビューします。
そしてさんざんレビューしたにも関わらず、計画はだいたい外れます。
外れた上で、残業でカバーします。

亀のようにしか仕事が進まない。
進められない構造になっているのです。

早く仕事を進めようとしたら、頭の固いバカが大量に湧いてきて、とにかくゆっくりさせようと画策してくるのがSIerです。

仕事が超スローにしか進まないということは、経験値もスローにしか積み上がらないということです。

新しいことをやろうとしないので、同じような仕事を延々とゆっくりと繰り返します。

入れ替わらない水が腐っていくように、SIerの中の人間も少しずつ腐っていきます。

既に腐臭がしています。
ヤバいですね。

残業時間が長すぎてヤバい

SIerの中の人は仕事内容よりも「残業時間」で自分の成果をアピールします。
月末になると「今月の残業時間やばいっすよ」みたいなことをニヤニヤしながら言う奴が必ず湧いてきます。

キモいです。

「残業ヤバいですよ」と言いながら、自分がいかに頑張っているかをアピールするのです。

自分がいかにチームに必要なのかを周囲に示し、「自分が残業して働かなければ仕事が回らない」と主張したいのです。

無駄な作業を自動化もせず、ひたすらにしょうもない資料を作り続けて、「残業ヤバいっすよ」とのたまう。

ヤバいのはお前の頭だろうと言いたくなります。

コロナでリモートワークが中心となって、「残業ヤバいっすマン」は減りました。雑談できなくなったからです。

とはいえ、残業のヤバさで実績をアピールする風潮は消えておらず、とにかく残業を美徳とする文化があります。

成果主義は何のその。
残業していないと頑張ってない!と見る雰囲気がたしかにあります。

SIerはヤバいですね。絶対に近づいてはいけません。

SIerはなぜ労働時間が長いのか?業界に潜む構造的な問題

大手SIerに10年勤め、他社に転職した経験から自信を持って言いますが、SIerはやばいです。

長くいても何の意味もありません。給料が出て、それを消化して娯楽に費やし、また仕事で疲弊して、の繰り返しです。

何の前進もありません。
何の学びもありません。

SIerの経験は他社では活きないし、意味がありません。何の役にも立ちません。

余談ですが、SIerから転職したからと言って、その経験を語る場所もありません。そもそもSIerにいる連中は保守的で、転職意欲が低いので、「SIer出身の転職経験」に需要がないのです。

それゆえに、SIerからの転職記事を書いたとしても金になりません。

まさに煮ても焼いても食えないのがSIerです。本当にSIerに費やす時間は人生の無駄です。

あんなくだらなくてつまらなくて意味のない業務に人生の大切な時間を費やして、給料をもらって消化する毎日でいいんですか?

って、「これでいいんだろうか?」なんて考えないからSIerなんぞに長く居座るわけで、危機感がある人はさっさと出ていきますよね。

そう、40代以降でSIerに残っているのは凡庸で危機感がなく、市場価値には目も向けず、人生を主体的に生きられず、会社を勤め上げることが人生の全てだと思っている終身雇用厨ばかりなのです。

キモい連中からはさっさと離れましょう。



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