SIerの仕事

SIerの仕事の内容はショボすぎるが、でも給料は上がっていく

SIerで仕事をしていると、運良く素敵な部署に配属された人以外は、同じ想いを抱えることになります。

「やってる仕事がショボすぎる」

「でもなぜ給料だけは上がっていくんだ…」

と。

SIerの仕事は外からの視点で俯瞰的に見ると、規模も影響も大きい仕事をしているように見えます。
実際にそうなのでしょう。

一方で中で働く人のミクロの視点で見ると、ものすごくショボい仕事を、ものすごい時間をかけてやっています。

たとえば、COBOLのソースコードをコンパイルするための「ビルドサーバー」を作りましょう、という仕事があったとします。

そんなんdocker runで一瞬で作れるんじゃないの…とか思いますよね。

作れません。

基盤チームに「サーバーの構築」を依頼し、サーバーの要件だの何だのを詰めるのに1ヶ月かかります。
1ヶ月かけてサーバーを作り、そこから1ヶ月かけて「ビルドするための道具」をインストールしていきます。

開発サーバーを作るときも同様です。
クラウド上でサーバーを構築するのになぜか1ヶ月かかり、そこからアプリケーションを動かすまでにさらに1ヶ月かかります。

その「動かすまで」の会議には10人とかが参加して、色々な関係者が「責任の分担」だの「スケジュール」だのを議論しまくります。

議論して、Excelで作ったWBSに落とし込み、そのWBSを見ながらまた議論して、計画書を作り、レビューを受けます。
そういうことをやっているうちに1ヶ月が経ってしまうのです。

何がなんだかわかりません。
亀のようなスピード感で仕事が進みます。

こう書くと、

「SIerの仕事、楽そうでいいじゃん。それで給料も高いんじゃろ?」

などと思われるかもしれません。

マジで、全然楽じゃないんです。
正直、めっちゃ大変です。

何が大変なのか?

関係者の調整です。
一緒に動く人が多すぎて、その関係者と責任を分担し、色々と調整するだけでものすごく時間がかかります。

一人でやれば1日で終わるような「サーバーの構築」も、20人の関係者がいると1ヶ月かかるのです。
管理する人が増えれば増えるほど、生み出される成果と反比例して、工数は爆増します。

管理する人のレビューを経ないと、何も話が進まないからです。

2週間かけて計画を練り、スケジュールを組みます。
工程が終わると今度は「振り返り」や「問題点のまとめ」などの資料の作成やレビューに2週間かかります。

「始めるため」と「終わったあと」の資料作りで1ヶ月潰しているのです(笑)

笑い話のようですが、これはマジです。
そして、資料を作る側もレビューする側も本気なので、毎日23時まで仕事して、「振り返りの資料」を作ります。

SIerの社員が一生懸命上司に説明するための資料を作っている裏で、パートナー企業の人が一生懸命手動でCOBOLのソースを動かし、単体テストのエビデンスをExcelに貼り付けています。

もちろん、テストは自動化されていません。

こんな仕事を1年中続けているのです。
それで給料が上がっていきます。
ハードな仕事です。

中の人は「人の利害を調整する」「スケジュールを立てる」みたいなソフトスキルは身に付きますが、専門性は全く身に付きません。

ソフトスキルは転職市場で必要とされることはありますが、評価はされにくいです。
特に専門性を求めるウェブ系への転職では評価につながりにくいです。

それだけレビューして何ができるの?

SIerではものすごい時間を資料作りとレビューに使いますが、その結果、何ができるでしょうか?

できあがるのはなんと!

……めちゃくちゃ使いにくいシステムです。

ユーザビリティゼロ、誰が見ても使いにくい、2000年代初めに使われていたような、そんなアプリケーションができあがります。

時間をかけても、たくさん人がいても、できあがるものはショボいのです。
不幸なのはユーザーです。

SIerは顧客をガッチリ掴んでいます。
業務で使うソフトウェアを握られています。

普段から慣れ親しんだソフトウェアを変更するには大きなスイッチングコストがかかります。
だから顧客も他の選択肢を検討しにくい状態になっているのです。

SIerは儲かりますが、顧客が一方的に不便を押し付けられているような状況です。
どこの世界に、

「背景の色を変更するだけで2ヶ月かかります、人間は10人使います」

みたいな見積もりが許される仕事があるのでしょう。

こんなんSIerだけです。

こういったふざけた仕事はさすがに持たないとは思っています。
歪んだ構造はいつか必ず是正されるからです。

世の中の便利さと、SIerから出てくる成果物のギャップに正しく疑問を持てる層が意思決定に関わるようになったとき、世界は変わるのでしょう。

今の30代が50代になる頃にはSIerの仕事は今よりも減っていくと思います。
無駄なお金を使いたがらないからです。

今、意思決定の権限がある大企業の50代の顧客が、思考停止でSIerにシステムを投げてくれているから、SIerは儲けることができています。

意思決定に関わる人間が変わることで、SIerも変化を余儀なくされます。
ですが、SIerの中にいるのは人間です。人間は簡単には変わりません。

「採用」によって企業を変えていこうという動きは一般的にはありますが、SIerは中にたくさん人がいすぎて、ちょっと採用したくらいでは社風は変わらないでしょう。

プロパーの意見が主流のまま、延々と変わらない、変われないSIerの業務が続くと思われます。
今はコロナの追い風を受け、DXだなんだと盛り上がっていますが、DXの追い風の後に来るのは幻滅です。

「お金めっちゃかけてるのに、超使いづらいものばっかり出てくるのはなぜ?」

「SaaSでもっと安く、便利に使えるものいっぱいあるよね」

と、愛想をつかされるときが必ずきます。

逃げ切れない世代の人は、SIerからは早めに出る準備をした方がいいのではないでしょうか。



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エンジニア転職のリアル

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