SIerの仕事

SIerの仕事とは?残業ばかりで辛い?中の人が実態を紹介する

SIerとはシステムインテグレーターの略で、顧客から「こんなシステムを○億円で作ってください」と依頼され、「お任せください。こんなシステムですね。いついつまでに作ります」とITシステムを作って顧客に導入する仕事をしています。

「今月は○○時間分の労働を投入します。その分の費用を払ってください」というお金のもらい方もあります。

端的にいえば、顧客のIT部門を肩代わりするのがSIerです。

顧客はSIerにITシステムの構築を投げることで、自社でIT部門を新規採用しなくても良く、またIT技術者を育てる必要もないため、SIerのニーズは今後もなくなりません。

日本は解雇規制が強いため、ITシステム部門を作るために一度採用を拡大してしまうと、解雇できなくなるため、「必要な人間の数に増減がある」ITシステムの構築を自社でやるのは難しいのです。

必要なときに人を集めて、不要になったら解雇する、という雇用のやり方ができないのですね。

だから、ITに関してはSIerに外注するのです。

大企業病にかかった大手SIer

SIerがなぜ必要とされるのかがわかったので、SIerの仕事の実態を見ていきましょう。

基本的にはザ・日本企業といった業務で、少なくとも大手SIerでは、メイン業務は「会議」と「資料作り」です。ITシステムを自分たちで開発している実感はありません。

会議屋・調整屋・資料作成屋、というのが大手SIerの仕事です。

若い年次の人が「SIerの仕事が退屈で退職した」とブログを書くと、大手SIerに長々と勤めている連中が、「若い年次で辞めて何をわかった気になってる」と批判しがちですが、年次が上がるにつれて「SIerのくだらなさ」は増していいきます。

会議と資料作成、承認ゲームのような「仕事ごっこ」が永遠に続くのがSIerのリアルです。

SIerの仕事はものすごくゆっくりと進みます。
中の人は誰もが忙しそうに、辛そうな顔をして、夜遅くまで残業をしていますが、その時間に何を生み出しているかというと、正直よくわかりません。

誰も何も生み出さない時間を過ごしているのに、顧客がお金を払ってくれるので大きな利益が生まれ続けているのです。

ある意味で「既得権」です。

とにかく何をするにも「責任分担」と「調整」が大事で、そのため仕事が進みません。典型的な官僚組織です。

若干専門的な話になりますが、開発サーバーの利用でさえ「色々な許可」が入ります。

あるサーバで開発作業をしていて、必要なモジュールが足りなかったとします。

しかしインストールには管理者権限が必要です。

そうなると、

「rootでインストールするものはアプリ担当者の仕事ではない。
アプリ担当者が勝手に作業をすると誰の管理物かがわからなくなる。
だから基盤チームの担当者に依頼を出さなければならない」

という話になります。

何が言いたいかというと、5分で済ませられる作業をするために3時間の調整が必要だということです。

何をするにも別チームと調整し、お願いし、場合によっては打ち合わせを行ってまで了承を取らなければいけません。

なぜなら、勝手に作業すると「誰の責任かわからなくなるから」です。とにかく責任の所在を明確にして、「自分たちは悪くない」と言いたがります。一つのシステムを作っているにも関わらずです。

何をやるにも

  • 調整
  • 責任の明確化
  • 分担
  • 認識合わせ

が必要で、ものすごく時間を取られます。

正直、忙しそうにしているのは、何かを生み出しているからではなく、「責任を取らないために」会議や調整ばかりしているからなのです。

申請・承認・会議・レビューの連続で、仕事が進まず残業が増える

SIerでは全く仕事が進みません。アジャイルだなんだの言ってますが、体質がアジャイルにそぐわないのです。

大手SIerには「申請されて承認することを仕事とするおっさん」がたくさんいます。

そういうおっさんの仕事を無くせないので、とにかく大量の承認作業が必要になります。アジリティ(敏捷性)など上がりようがありません。

ひたすらに会議を続けます。

プロジェクト開始に10ヶ月

「プロジェクトを始める」と決めた後は、まずは計画書を作り込みます。
その計画書の作成の前にフィージビリティ調査などを行いますが、全ては計画書のためです。

ウェブ系だとフィージビリティスタディやPoC(Proof of Concept)と呼ばれるものです。だいたい2〜3ヶ月でやることが多いです。SIerでは半年以上やります。

SIerではプロジェクトを始める前に膨大な計画書を作ります。

計画書には

  • プロジェクトの特徴・概要
  • 規模・工数
  • スケジュール
  • 体制
  • 運営方法
  • リスク
  • 課題

などを盛り込み、その分量は100ページを超えるのです。分厚いパワーポイントの資料を関係者に配り、レビュー会議をします。

それぞれの項目には根拠となる数字が明確に記載されています。

プロジェクトが始まる前に全て計画できているかのように大量のパワーポイントを作らなければなりません。

そのパワーポイントを作るために、大量の調査用のExcelを作成します。

そして死力を尽くして作った資料を会社の偉い人にレビューしてもらい、承認会議を経て、やっとプロジェクトが始まるのです。

SIerの仕事はなぜゆっくりと進むのか

SIerの中の人が自分たちの仕事の進め方に全く疑問を持たず、会社で決められた慣例を遵守し続けていることに一因がありますが、本質的な問題は

  • 関わる人数が多すぎる
  • 何もかにもが縦割りで、自由度が低い
  • 自分たちの責任範囲を明確にしすぎで、「全員でプロダクトに責任を持つ」という意識がない

という点です。

アジャイル開発では「チームメンバー全員がプロダクトに責任を持つ」みたいなことがよく言われますが、SIerの業務はこのようなアジャイルの理念とは対極にある。

「自分が責任を持たない」「誰かにやらせて管理して詰める」のがSIerの仕事です。

責任を取らないことに日々全力を尽くしています。

異口同音に「これ、あなたの仕事ですよね?どうなってるんですか?」というやり取りをしています。

「スケジュール通りにできるんですか?あなたの仕事ですよね?」と。こんな環境では当然、ストレスも溜まります。

自分がやっているということは、自分も誰かにやられる可能性があるからです。

とにかく、自分たちの責任範囲を明確にして、余計な責任を負わされないことに全力を尽くしています。

ハタから見ると頭がおかしいのですが、本人たちはそのおかしさに気付きません。

やっている人たちは、それがプロジェクトのためだと本気で思っているように見えます。

  • プロジェクトに関わる人数が多すぎること
  • 手を動かせる人がいないため、調整や依頼が主業務になっていること
  • 調整・依頼が当たり前の文化で、強制力を持っていること

などが問題なのですが、大企業病にかかったSIerでは解決は不可能です。

年功序列のピラミッド組織で、仕事のやり方を変える意思決定ができる層が「今の仕事の進め方」に全く疑問を持っていないからです。

今さら僕が語っても仕方ないことなのですが、

「SIerの仕事のやり方、なんかおかしくない?」

という疑問が晴れない方は、マジでさっさと転職活動を始めた方がいいでしょう。

人生はいつでもやり直しできますが、やり直しは若ければ若いほどいいのです。
そして人生で一番若いのは「今」なのです。