SIerはなぜ時代遅れになっていくのか

SIerで働いていると、自社の開発がなぜこんなに時代遅れなのかと疑問を抱く若手の方もいるでしょう。

私自身、SIerで長年働きながら、何をやっても変わらない、どうあがいても時代から遅れ続けていくSIerの現状に絶望し、失望してきました。

なぜこんなにも変われないのかと。
どうしていつまでも時代遅れのままなのかと。

ずっと考えてきました。

社内には危機感を抱く人はいます。

「このままじゃいけない。なんとかしないと」

と、委員会のようなものが作られて、部署横断で組織の問題点について語ったりもします。

中にいるのは馬鹿ばかりではありません。

賢い人もいます。

SIerのあり方に疑問を抱いている人もいます。

賢い人が問題点を認識していながら、変われないのはなぜでしょうか。

意思決定に携わる人の危機意識の不足

SIerの役員や本部長レベルの人は「変わっていこう」という危機感を持っています。

彼らは「時代に乗り遅れないように施策を打っていこう」と方向性を打ち出しますが、施策を具体化する段階でことごとく骨抜きにされます。

部長・課長・プロジェクトマネージャーレベルの人が本気で変わろうとしないからです。

SIerは完全なるヒエラルキーが確立された組織です。

ボトムアップで何かが決まることはほぼありません。

プロジェクトマネージャーを中心に、プロジェクトマネージャーに助言をする「偉い人」の意向を反映させて、プロジェクトが回っていきます。

SIerの「偉い人」は絶望的に技術知識がありません。

30年間外注に丸投げし続けてきた人にまともなエンジニアリング力があるわけがないのです。

勉強するといっても情報処理試験くらいで、実際にコードを書いたり、自分で何かを開発した経験はありません。

また、彼らの経験自体もCOBOLで単純なバッチシステムを作った程度のもので、現代のシステム開発の知見は持っていません。

そんな人がプロジェクトの方向性を決め、具体化し、計画を作っていくのです。

なので、役員がどんなに「変わろう」と叫んだところで、「変わり方」は知らないし、何もできません。

知らないからです。

また知らないものを「怖い」と思うのは当然で、SIerのような極限までリスクを回避したがる体質の企業では、新しいものを取り入れるインセンティブが働きにくくなります。

結果として、常に「前例踏襲」の選択がなされ、何も変わらないまま時間だけが過ぎていきます。

時間が過ぎるということは、世の中が進歩するということです。

SIerだけが変わらないので、世の中との差はどんどんと広がっていき、差が広がりすぎて手がつけられなくなっているのが2021年現在のSIerの状況です。

リスク回避思考

毎週繰り返される「障害定例」にうんざりしている人もいるのではないでしょうか。

障害が起こるたびに大量の記入項目を埋めて、いちいち報告しなければなりません。

報告される人は、腕を組んで偉そうに聞くものの、実際に問題を解決してくれるわけではありません。

全然関係ない人に丁寧にエスカレーションしていって、いちいち承認を得なければならないのです。

非効率極まりないですし、障害が起こるたびに怒られ、詰められ、クソ面倒くさい報告をこなさなければならないのであれば、誰も新しいことをやろうとしません。

「失敗を許さない文化」

こそが、SIerをSIerたらしめている要因です。

「ミッションクリティカルなシステム開発を行っているから失敗などできない」とSIerの社員はよく言いますが、そんなん言い訳です。

AmazonでもGoogleでもFacebookでもいいですし、日本のその他のウェブサービスでもいいですが、どれもSIerのシステムよりも止まりません。

中では障害が起きているのかもしれませんが、ユーザーは気付きません。

SIerでは割とユーザーに起こられていますが、「ミッションクリティカルだから保守的な開発をする」=「障害が起こらない」わけではないのです。

ミッションクリティカルを言い訳にして、古臭くて使いづらいシステムを放置して、人力で障害対応して若手社員が消耗しているのがSIerの現状です。

夜間障害対応でろくに眠れもせず、むしろ眠らなかったら偉いかのように振る舞い、問題の本質的な解消に取り組まない。

SIer社員のドM体質が問題の先送りを助長しています。

人材の新陳代謝がない

ウェブ系の企業では転職が当たり前で、中途入社の社員が自社の開発スタイルに新しい風を吹かせてくれます。

新陳代謝が活発で、だからこそ新しい技術の導入にも前向きで、時代に応じて人材が変わっていきます。

SIerの人材は転職志向が薄い人が多く、循環がなく、その場に留まっています。

濁った沼のようです。

プロパー社員がプロジェクトマネージャーとして辣腕を発揮し、プロジェクトは変わりません。

古き悪き時代のシステム開発の奥義は先輩から後輩へと受け継がれていきます。

おっさんもいつまでも居残り続け、ずれた時代の指摘を繰り出し続けます。

また、わざわざSIerに転職してくる人も思考がSIerに染まっている人が多く、つまりは重厚長大で技術が嫌いなプロジェクトマネージャー志向の人材で固められていきます。

技術が好きな人は遅かれ早かれSIerからは出ていって、二度とSIerには戻りません。

SIerでは技術がやれないと、痛いほどわかっているからです。

そうやってSIerにはプロマネ志向で技術嫌いの人だけが残り、組織としては技術的にどんどん遅れていきます。

まとめ

SIerが時代遅れになっていくのは必然です。

  • 変わっていけるような組織構造になっていない
  • 変えていけるような人材がいない
  • 変えていこうとする人材はSIerから出ていく

などの、組織と人材の問題が根っこにあります。

また、SIerには「手を動かす作業は下請けがやること」という考え方が根強くあります。

技術的な能力にリスペクトがありません。

「何MMのプロジェクトのマネージャーを担当したか」

がSIer内でのトラックレコードになります。

そういう文化の会社の中では、技術者は当然育ちませんし、ロールモデルとなる先輩社員を見つけるのも難しいでしょう。

ごく一部の部署には優秀な技術者がいますが、基本的に配属ガチャは外れるので、新しい技術にチャレンジしたい、将来技術者として年収を上げていきたい、という人はできるだけ早くSIerからは転職した方がいいです。

本ブログにはSIerから脱出したい人のために、様々なノウハウを残しています。

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